気まぐれ社員食堂 2nd

顧客がいないのに個人事業主になるなんてダメだよ

Covid-19の影響は外食観光旅客にとどまらない.

僕らサービス業にも暗い影を落としつつある、、、のだが.

上場を目指していた会社の部長職であった人間が株主会社に吸収合併されることで立場の失墜を悟り個人事業主になった.

個人事業主を目指すタイプは2種に分類される.

一つはもちろん顧客になるだろう企業を何社か雍しており、個人の力量も一定の能力、品質がある人間.

もう一つは「オレ様はこんな企業のこんな役職だったんだぞ」 「こいつらができているんだからオレにできないはずがない」 という人間だ.

真っ当な前者は売り上げが落ち込むだろうが、社会が均衡を保とうとする動きのなか回復するだろう.

問題は後者だ.

「仕事を舐め」た後者はおそらく淘汰される.

僕のところにも、個人事業者を目指す若者が居た.経験も能力もない.

ある会社の仕事に就いてもらったが1ヶ月も経たないうちに「無理です」と言ってきた. その内容は要するに努力が足りないだけで、「僕を重要人物だと見てくれない」と理由だ.

初めてその仕事に従事するのに実力も知見も経験もないのに重要人物として見てもらえるわけがない. どちらかといえは危険人物だろう.

次の仕事も大変なものだった. おそらくこの人に就いてもらえる仕事はないだろう.

そして、上場を目指していた企業の部長職様の話だ.

上場を目指していた企業ということは中小である. 部長職はそれなりに能力があるんだろうと思うが、吸収合併で処遇が怖くて逃げ出したということは推して知れるわけだが、この人現在仕事にあぶれているらしい.

以前いくつか仕事を紹介したことがあるのだが、「単価が低い」「ミッションが気に食わない」などの理由で成立しなかった.

個人事業主は、基本的に信用がゼロの状態から始まる. 身分を証明するものは過去の経歴だけであり、「で、今はどういう身分で?」と尋ねられたら「個人で事業を・・」というだけである.

僕のところにも求職の打診がきたが紹介できるような仕事などない.

この手合いはお腹が一杯になればデザートを求めるだろうし、さらにいい食事を求めてくるはずだからだ.

これでわかるように、部長職だろうが社長だろうが、助けてくれるクライアントを構築できていないのであれば個人事業など営むべきではない.

僕らの仕事は仕入れがほとんどない. 要するに自分の能力が売り物で、時間が売り物だ.

だから経験や知見、品質を上げていくしかない. コンサルテーションも机上のうわごとではなく、きちんと地に足がついたコンサルテーションを提供しなければならない.

クライアントが危険な方向に進もうとしているのであれば、外部から俯瞰して考えることができる回避策を提示しなければならないのに、だらだらと日々を過ごすような事業を営んでいては次はない.

このタイトルは、顧客がいないのに個人事業を営んではいけない、であるがCovid-19のこの時期は実はチャンスでもある.

僕の周りでも何人かがCovid-19流行前に退職し個人事業や転職を目論んでいた人がいるが、転職はご破算になり個人事業の仕事も延期になったり取りやめになったりしている.

そんななかでも、能力や実績があれば仕事は継続する. 新しいサービスを構築しようとするのであれば、リモートワークが標準になりつつある状況の中では追い風である.

(20200730)